
黒潮に乗って日本中を回遊するカツオ、寝ていう間も時速60kmというスピードで泳ぎ続けるカツオの身体は、栄養とエネルギーに満ちあふれています。そのカツオを最も新鮮で美しい状態で引き揚げる為、漁師ひとりひとりがまさしく「一対一」でエネルギーをぶつけ合い釣り上げるのが、カツオの一本釣りです。
釣られたカツオは、かつお節になる為水揚げされすぐに作業場に届けられます。

生切りと呼ばれる魚体処理により、生カツオは頭と内蔵を除去され、三枚に卸した後に身割りされます。ここで本節は背節.腹節に分けられるのですが、ここでの包丁さばきが、後の節本体の美しさそのものに関わってくる重要な作業です。

身を分けられたカツオは、煮籠に並べられ煮熟の工程に入ります。煮熟は本体を殺菌し、旨味と栄養の素であるタンパク質を凝縮させる役目があります。温度や時間はその時の鮮度によって変わり、長年の経験と職人の目を持ってして節の「味」が決定付けられます。

煮熟を終えたカツオを籠から上げ、一部の骨を抜きます。捨てるところのないカツオではありますが、そのまま乾燥させてしまうと筋肉と骨のバランスが崩れ、身の崩れやひび割れを起こしてしまいます。その「身の美しさ」も大切な鰹節は、一本づつ手作業で骨を抜き、更にカタチを整えていきます。

カツオ節の為の乾燥は、薪を燃やした熱と木の香りによるいぶしである「焙乾」を用いられます。あくまで生の木を燃やすことにより、適切な水分量、そして香り付け、更にはお互いの成分を利用した抗酸化力を高めることが出来ます。自然な製法だからこそ受けられる自然の恵みを、節本体がたっぷりと吸い込みます。

最初に焙乾を行った翌日に、煮崩れや骨抜きで欠けてしまった部分の修繕を行います。見かけを整えるだけでなく、繰り返し行われる焙乾で身割れが起こらないよう、欠損部にかつおの身を補繕していきます。

節の原型の出来たカツオは、そこから連日焙乾を繰り返していきます。初回の焙乾を一番火と呼び、本枯れ節になる為には、八〜十二番火まで焙乾を繰り返し、風味を高めて行きます(亀節の場合は六〜八番火)。この工程を終了したカツオをようやく裸節(はだかぶし)と呼べるようになるのです。

裸節はここから更に風味を高めるカビ付けの作業に入ります。一番最初につけるカビを「一番カビ」と呼び、2週間程度掛けてようやくこの一番カビがつきます。その後カビ付け、日乾を繰り返し、本枯れの状態になるまでは、最低2ヶ月程度を要し、最も風味の高まる状態までは4〜5ヶ月を要す、壮大な作業なのです。